audio-technica ATH-ESW10JPN 吸音材&リケーブル改造



A2000Xに対する吸音材変更・制振材追加の改造が思いのほかうまく行った(ような気がする)し、ATH-ESW9の分解写真を載せているサイトを発見したりもしたので、A2000XやHD650などの大型ヘッドホンと比べてちょっと騒がしい雰囲気の音が気になってきていたATH-ESW10JPNにも手を加えることにした。



革製のイヤパッドを外したところ。
A2000Xと比べるとイヤパッドのエッジがより深くはまっているので少し着脱が難しい。写真で白く半透明に見えるのはナイロンのネットのようなもので、上のサイトのESW9では黒い不織布となっている。音響的なパーツかな。これに相当するパーツはA2000Xにはなく、替わりにスポンジのリングがユニット開口部の周囲にセットされている。
白いネットの下、4ヵ所にある半円形の切り欠きのところにドライバーAssyをフレームに固定しているネジがあり、ネットを剥がすか、ネットに穴を開けないといけない。かなり強靭なナイロンなので(ほんとにナイロンか?)切るのが大変だったけど、剥がすのもいまいちな感じ。



ドライバーAssyを取り外したところ。ドライバーユニット部背面に黄色いグラスウールが貼り付けられている。また、バックキャビティと外部との間で若干の空気のやり取りを可能にしていると思われる白い紙の2ヵ所に小さなスポンジが詰められている。このグラスウールと小さなスポンジはESW9と一緒。ウッドハウジングの内側にはA2000Xと同様に円形の薄手の黒いフェルトが入っている。上のサイトを見ると、このフェルトはESW9にはなさそう。


グラスウールとかスポンジとか、そういうartificialな雰囲気のものはフェルトに替えてしまおうと思う。ピアノの中だってフェルトはいっぱい入ってるけどスポンジとか使われてないだろうし。



グラスウールを剥がして、A2000Xのときと同様ドライバーの背面には鉛シートを貼ってみる。A2000Xの場合は、ドライバーユニット本体の板金に貼れたのだけど、ESW10JPNはそこまでユニットを取り出せていないので、ドライバーユニットが組み込まれているプラスティックのフレームの背面。厚手のfo.Qでもいいかもしれない。2個の小さなスポンジもフェルトに変更。



厚手のフェルトを重ねてグラスウールの替わりとし、鉛シートの上に貼り付け。木製ハウジングの裏側は今回は放置。右端に見えている薄手のフェルトは、とりあえずそのまま使ってみる。


と、ここまでのつもりだったのだけど、あまりにも簡単にケーブルの付け替えができる構造だったので、一気にリケーブルもやってしまうことにした。

      • -



新しいケーブルをフレームに付いているゴムブッシュに通してハンダ付け。ケーブルは、APureSoundのER-4P用のもの。同社のV3と同じく、特殊テフロン被覆銀メッキ銅撚り線だと思う。ER-4Pで使うには硬すぎるしガサガサとタッチノイズもうるさくて持て余していたので、イヤホン側のコネクタを切り落して流用することにした。



抜け止めのための結び目を作って、フェルトを付け直して、



完成。
APureSoundのER-4P用ケーブルでは24Ωの抵抗がステレオミニプラグ内に入っているのでプラグも交換。ノイトリックのL型ミニプラグの替わりにヒロセのコネクタを付けてしまえば、バランスドライブ対応ESW10の完成だ。ふっふっふ。


音はもちろんいい。フェルトのおかげかAPureSoundのおかげかさっぱりわからないところはいまいちだけど、A2000Xの改造よりも効果が大きいかもしれない。
まず音場感が大きく変わって、いわゆるサウンドステージが広くなった感じがする。関連しているのか、音のスピード感が全体的に揃って一斉に速くなった気もする。少しボクシーな鳴り方だった低音は、最低域方向への伸びが聴こえるようになって一層バランスが整ってきた。いろいろ変わるものだな。おもしろい。