audio-technica ATH-A2000X リケーブル


ヘッドホンで、ケーブルの種類が音質に与える影響は思ったよりも大きい。考えてみれば、スピーカーケーブルだって、その種類や長さや、あるいは引き回してからの経過日数やらで音質が変わるのだから、高感度のユニットに耳を付けて聴くヘッドホンで影響がないわけがない。スピーカーケーブルのようにだれでも交換して試すことができる、という仕組みになっていないのでおざなりになっているだけだろうし、海外でリケーブル屋さんが林立しているのも理解できる。


ヒロセのコネクタを使ったバランス対応リケーブルシステム用には、今まで、HD650の純正ケーブル流用版と、Monster CableのインターコネクトケーブルiCable流用版とを作っている。HD650純正の方は細いポリウレタン線で、iCableはもっと断面積の大きい銅より線で、DC抵抗はiCableの方が倍ほど低い。HD650純正は柔らかくて取り回しが楽だし、これだけ聴いている分には不満を感じないのだけど、iCableに繋ぎ換えてみると痩せ細った音を聴いていたことが分かる。細いポリウレタン線の視覚的効果から来るプラセボはなかなか強力。


太い線と言えばHD650用に買ったAPureSoundのV3が手持ちにある。Splitterのところで切ってヒロセのコネクタを付けているのだけど、アンプ側はまだステレオミニプラグ。このケーブルはやたら太いので端末処理が難しく、外のナイロンシース、中の綿シースを両方とも外してなんとかしようと思っているのだけど、きっとそれをやってもまだまだ太いし重いし曲がらない。という訳で、iCableの方向で、APureSoundよりも取り回しのいいもの、を作ってみることにした。



線材はこれ。熱可塑性のあるフッ素樹脂、広義のテフロンの被覆のφ0.4mm金メッキOFC線。銅はきっと4Nくらいだろう。
はじめはヘッドホンのスプリッタ部とアンプとの間をこれで繋ぐつもりだったのだけど、ATH-A2000Xのヘッドホンからスプリッタまでの間、オーディオテクニカオリジナルな部分が残ってるケーブルが気になってきた。↓の写真のひょろっとした部分。

6N銅のケーブルだそうだけど、銅の純度を上げれば音質の向上に繋がるという話はまったく信用していないし、オーディオテクニカの高級インターコネクトケーブルを流用して作ったiPodドックケーブルはキンキンしたひどい音だったのだ。これも0.4mm単線に張り替えてしまおう。



これがストックケーブル、6N銅より線。



ストックケーブルを取り外して、ユニットにテフロン被覆0.4mmOFC単線をハンダ付けしたところ。



0.4mmOFC線をユニットカバーの脇の隙間から外に出して、軽く拠って、φ2mmの熱収縮チューブをかぶせて、抜け止めの結び目を作って、外に出す。



吸音材のフェルトを巻く。この後、結び目のあたりにホットメルトを流して固定している。
ユニットのエージングが進んできたせいか自分の耳が慣れてきたせいか、最初にスポンジからフェルトに交換した頃よりも、フェルトの量を半分にし、さらにチタンカバーの裏側に貼っていた薄手のfo.Q制振材は剥がして、ストック状態に近づけてある。ユニット背面の鉛シートはそのままだけど、今なら、スポンジを含めて完全にストック状態に戻してもそこそこ行けてしまうのではないか、とも思う。



もう一方のユニットの作業中。



外したもともとの6N銅ケーブル。iCableよりもちょっと細めのより線。


テフロン被覆φ0.4mmのOFCは、2本合わせて熱収縮チューブでまとめてもまだしなやかで取り回しには問題がなく、0.5mmでもOKだったと思う。早くアンプまでのケーブルも作ってしまおう。4本を軽くより合わせて、ナイロンのシースをかぶせる予定。