サンスイ AU-9500の話 (8)

Heavy Dutyらしい日立製の2SC984がなんとか耐えて動いているっぽいけど、常に定格の2割増の電圧がかかってる、ってのはやっぱりなー。音はいい。いろいろ聴くと、しっとりと中身が詰まったようないい感じなのだけど、開放的な感じがちょっと足りないような気もする。開放的、と言えば2SC959/2SA606の得意技。音が少しスカスカして荒っぽくなるようなところはあるのだけど、これは同じことのちがう側面かもしれない。

で、ドライバー基板のプリドライバーの石、最初に付けた台湾で買った古いロットの2SC959/2SA606を付け直した。



ロット番号の読み方も少し勉強しましたよ。左、2SC959は1973年製のAロットNランク。ロット記号なしが最初のロットらしいので、これはその直後のロット。Nランクというのは、JKLMNと続く系列で一番hFEの低いランク、テスターでの実測値で70〜100。2SA606は1974年製BロットPランク。Pは、OPQRSと続く系列の高い方のhFE、でもやっぱり70〜100くらい。両方とも古いロットなのに2Sが省略されていたり、A606の方はさらにNECのPNPなのに文字が黒かったりとちょっと疑問点はあるけれど、音はしっかりC959/A606なので本物だろう。



プリドライバーを耐圧120Vの2SC959/2SA606にしたので、安心してがんがんバイアスをかけます。って、バイアス電圧なんて誤差程度だけど。サービスマニュアルに記載されている調整狙い値は、パラPPの両方のトランジスタ合わせて30〜40mA。スタティックな歪み率最小の値なのかな。この電流値では、分厚い金属のおっきな筐体に固定されたおっきなヒートシンクは全く熱くならないこともあり、150mAにしてみた。アイドル時で片側15Wの損失。ヒートシンクが適当にほかほかして、雰囲気でてきた。


音は一転、開放的になり、楽しく音楽を聴く、ということではこっちだな、やっぱり。今度台湾に行ったら、また買って来よう、C959/A606。手持ちのLUXMANのSQ507X(出力段は2SD218/2SA649)やL-507(出力段は2SD388A/2SB541A)と比べると、まだまだひと味たりないように感じてしまうのだけど、出力パワートランジスタの変更でどうにかなるものなのかな。



ばらしたついでに、ドライバー基板のパターン面につけてしまったフィルムコンデンサの写真を撮った。左右に見えるジーメンス型は正負電源用のデカップリングの電解Cの所に付けてあって0.1uF。中央に見えるのは帰還回路の電解Cに付けていて、同じく0.1uF。音に、ちょっと荒っぽさがあることへの対策のつもり。