サンスイ AU-9500の話 (7)

ブツブツ、プツッ、なんてノイズが出る状態じゃおちおち週末を迎えることもできない。
今日は帰宅して、とるものもとりあえず、スパゲッティを茹でるのも後回しにして、左右ドライバー基板を取り出してハンダゴテに火を入れた。


ノイズが出る方の基板をながめ回して、やっぱり古くさい外見の2SC959と2SA606に目が止まる。ゆっくり少しずつトランスタを交換してノイズの原因を突き止めよう。まずは2SC959と2SA606。


常識的には、新しめのロットのものに交換してみる、というところだろうけど、チャレンジングなチェンジニアリング魂は安易な道を許さない。替わるTrの候補は、2SC97A/2SA571、2SC512/2SA512、2SC984/2SA565、2SD756/2SB716、などなど。以前にCDプレーヤーの出力エミフォロで使って成績がよかった2SC984を起用したいところ。Cobも小さいし。でも、電源電圧が+/-50VもかかってるところのプッシュプルエミッタフォロワにVCBが50VのTrは、定常状態でぎりぎりセーフなだけの相当チャレンジングな仕業だよなー、と思いつつも、2SC984と2SA565を入れてみた。



2SC984と2SA565


あれー、いま回路図を見直してみたら+/-60Vあるじゃないか。完全に定格オーバーだ。それもピーク時とかじゃなくて常時だし。よく動いてるなー。さすが日立製?伊達に重電つくってない!?このまま使っててOK?!?


とにかくこのプリドライバーのTrを替えてみてもノイズには変化がなかったので、粛々と次のトランジスタ交換に向かいます。次に怪しいのは、やはり台湾捕獲品である最初期ロットの2SA726G。このロットは足の材質が青銅だかリン青銅だかみたいで硬くて、頑丈そうなのだけど古いし中身はわからない。なにしろ台湾での購入だし。
ここは素直にもっと後の時代のロットの2SA726Gに替えてみる。


あ、ノイズ、消えた。すげー。やっぱり犯人は台湾かー。
もう一枚の、ちゃんと動いてる方の基板にも2SC984/2SA565とあたらしめの2SA726Gを載せて、バイアスとDCオフセットを再調整して、ドライバー基板に金属のカバーも付ける。電源入れる。ノイズ出る。涙。


なんだろう、カバーの付け方がなにかまずかったろうか、とカバーをぐらぐらさせるとノイズが出たり出なかったり。んんん、ん?これはもしかしたら、台湾人はえん罪で、ただの接触不良、ってやつか?
早速基板を抜いて、エッジのコネクタ部分の接点を見てみると、そこはかとなくフラックスの汚れがついてるようないないような。手持ちのフラックス除去剤の小さなビンはただのフラックス希釈溶液と化してしまっているので使えず、ベンジンとアルコールとでゴシゴシしてみる。


基板を差して、電源入れて、ノイズ出ない。orz


いつ飛ぶかわからないドライバー段Tr入りだけど、音は格段にすばらしい。ほれぼれするような音がでてきた。すごいなー、2SC984。すばらしーなー、2SA726G。
ここまでの音が出れば、このAU-9500チェンジニアリングはすでに成功と言っていいだろう。大成功だ。最初は、出力パワートランジスタ東芝製2SC1079/2SA679もNEC製2SD388/2SB541に交換、と思っていたけれど、しばらくこのままでいい気がしてきた。この東芝製のTr、金田式の資料には出てこないようだけど、ラックスマンがL-309という高級機に使ってるトランジスタだしね。



というわけでAU-9500、トップカバー内部で、各ブロックをカバーする金属カバーをすべて付けてみた。トップカバーを外した状態ではMcIntoshのアンプのようなたたずまいになる。



しばらくこのままのパワートランジスタ。右下にくっついているのが、たぶん、熱結合されたVBEマルチプライヤ用Tr。