Sony CDP-XA5ESの話 (10) 続蛇足

DAC/アナログ系の電源回路をいじります。


これが現状の定電圧電源回路。

すでにCDP-XA5ESの話(7)ですこしいじってある。出力電圧の分圧抵抗の、2kΩとなっているところはもともと1.2kΩで、11.6V出力だった。


次なる蛇足改造の指針としては、この↓ように、

制御トランジスタをOPアンプの負帰還ループから外す、というもの。これは、交換した2kΩの抵抗のつなぎ先をエミッタからベースに変更するだけなのだけど、他に部品の交換もしたい。整流用のFRDをSBDへ、とか、制御トランジスタ2SC2275/2SA985を2SC4881/2SC1931へ、とか。


制御トランジスタを負帰還から外すことの効果、は、しっかりとそれだけを確認したかったので、今回のところは部品の交換だけで勘弁してやることにした。交換した部品がなじんだ頃に、負帰還から外してみようと思う。


整流ダイオードを交換。

アナログ電源の整流は、10Aという大容量のFRDをパラで使ったブリッジになっている。ここを、もともとのFRDと同じ日本インター製の、さらに大容量(30A)のSBDのパラに変更。この大きなELNAのオーディオ用の電解コンデンサは、いつかニッケミのKMHに交換してしまいたい。緑色のMUSEもニッケミの普通のにしてしまいたい。マイラコンデンサの向こうにちょっと見えるのはヒューズだ。これもいつか外してしまいたい。


電源制御トランジスタを交換。

左に見える7907は制御系の電源。


外した部品。

2SC2275/2SA985に特にうらみがあったわけではない。自分で聴いたことのないパワートランジスタだったので不安だっただけ。聴く、というのは何かというと、OPアンプ+1石A級バッファのヘッドホンアンプのバッファとして聴く、ということ。web上で見かける改造記事で、市販製品の電源部の2SC2275を古いからという理由だけで2SC4793に交換している例があるけれど、2SC4793というのは僕の「聴く」だと腰高で低音の支えのない、変な石だ。いくつかのディスコントランジスタの代替品として紹介されているから使われているのだろうけど、あれはだめだと思う。


今回使った2SC4881は、同じ聴き方でとてもバランスのいい、生き生きした鳴り方をしていた石。もう少し高音よりの2SD1266とか、低音よりの2SD880/2SD613とかも候補だ。まずは中庸の2SC4881を試して、そのうち2SD1266でも聴いてみようと思う。2SC2275も聴いて、その結果では再登場ということになるかもしれない。


ここで記念撮影。

5Vレギュレータ、DAC出力のLPF、を子基板にしたおかげか、なんだか整然としたきれいな仕上がりに見える。
5Vレギュレータ内の10uFや68uFを、OSコンなどではなくタンタルにしているのは、こうやって写真を撮ったときのかわいさを優先した結果なのだけど、もっと徹底した方がいい。差動合成アンプの電源デカップリングのOSコンや、DAC周りに残っているもともとのニッケミの音質用コンデンサ、これらをタンタルに変更したらもっとかっこよくなりそう。蛇足なのだからそのくらいやらなければ。ヨーロッパの、メリディアンあたりのアンプは、小さな丸いタンタルがズラーッとならんでいてとてもかっこいい。
かっこ、という点では、差動合成アンプの出力DCカット、横に寝ているブラックゲートがかっこ悪い。もっときれいで低音がおかしくならないフィルムコンデンサか、基板の下に仕込んでおいたオイルコンデンサにそのうち替えてしまわねば。


右下に見えるヘッドホンアンプ用のOPアンプは、ソケットで抜き差し可能にしてしまってある。この写真を撮ったときに入っているのは、MDR-Z900HDでの発振対策でNJM4556から替えたOPA2134。2134は、無難なのだけど音を整理しすぎている気もしたので、この写真のあと、手持ちのOPアンプをいくつか試してみた。

  • NE5532AP
  • LM6172
  • NJM5532D
  • NJM4558DD
  • NJM2114DD
  • OPA2604
  • OPA2134

結局どれにしてもMDR-Z900HDの発振は起きず。発振は、あのときのなにかの都合で起きたたまたまで、NJM4556でも今は大丈夫なのかもしれない。上のOPアンプのリストは、主にK-501で聴いた場合に気に入った順番。FET入力のOPアンプは、ノイズレベルがバイポーラ入力よりも顕著に高かったので順位が低い。非反転端子は47kΩでアースに落しているのだけど、匡体内でがんがん配線が引きまわされていることとOPアンプの入力インピーダンスとの関係でのノイズかと思う。2604では、聴きやすくアトラクティブな低音が出ていただけに残念。
NJM5532Dは、安定した音という点で2134と似ているけれど、ある種の生き生きした感じを増強する方向で音を整理している感じで面白い。曲がはまればとても強い。6172やNE5532は、NJM5532より不安定な感じが増すけれど整理感が少ない音。
どのOPアンプでも、K-501では、あるボリューム位置より上では音量があがらなくなる。OPアンプのボルテージスウィングの限界に達してしまっているのだと思う。70mAとれると言うNJM4556に戻したら少しは違うか?それとも気が向いたときに、バッファアンプを追加するのがいいか。


5Vレギュレータ/DAC LPF子基板、差動アンプ子基板、拡大図。

差動アンプ子基板の下のSilmic、交換してしまいたい。


動作中の子基板の図。


電源をいじってからスピーカーで音を出してみたら音がおかしい。定位が悪いし音が詰まって聞こえるし低音も出ていないし音量も小さい。気がする。FRD→SBDで、音量感が小さくなる、という経験はあったので、それかなー、それともダイオードや制御トランジスタエージングかな、と思いながら翌日聴いてみても一緒。
アンプを、Musical Fidelity A200から電源をいじる前につないでいたアンプ、SANSUI AU-9500トランジスタ全とっかえ品、につなぎ直すといい音だ。A200は、AU-9500改に比べてちょっと低音が弱くなるけど癖の少ない端正な音、というイメージでいたのだけどちょっと違ったかもしれない。でも、あんなに違うなんてまだどこか、突発的になにかがおかしかったのかもしれない。


この後は、残っている音響用のコンデンサを替えたり、電源をもう少し変えたり、というような話が残っている。のんびりとやるかもしれないし、やらないかもしれない。改造のモチベーションが、せいぜい、はぁーハンダ付けしたい、とか、タンタルコンデンサできれいにしたい、とかそんな程度で、積極的に対処をしなくては!、というようなモチベーションが生じない程度にはいい音が出ている。前に使っていたWadia16よりはもちろんいい音だし。