Sony CDP-XA5ESの話 (11) 続々蛇足 改造電源三号案

台湾や仙台に出張していてそんなに聴けていないのだけど、CDP-XA5ES改は絶好調。個人的な自作史上最高傑作だ。


出張の合間を縫って、「Sony CDP-XA5ESの話 (7) 電源」で書いた改造電源三号案を実施してみていた。案はこれ↓

いわゆる無帰還型の定電圧電源だ。


もともとの電源の様子。


途中経過その1。

2回路入りのM5220というOPアンプを外して、同じ場所に電源制御トランジスタの1段目、2SA726/2SC1399を入れ、2SK30Aによる定電流回路と7.5Vツェナーを外して、定電流替わりの抵抗と手持ちのごつい16Vツェナーに替えて、ついでにN25というヒューズも外した。16Vツェナーの1個の調子が悪くちゃんと電圧が出なくて失敗。
いないとは思うけど、この写真みて同じようなことを試みようとされる方は、ここで手前に植えてあるトランジスタ、2SA726は、通常のTO92パッケージのトランジスタとはBとEが逆なので注意。


途中経過その2。

5Vツェナーを3段重ねにしてみた。ついでに電源の出口の電解コンMUSE 63V/1000uFを、前に使って都合がよかったPhilipsの16V/1000uFに交換。今度は電圧は大丈夫。負帰還を外したのでただでさえ電源リップルノイズに弱くなっている上、定電圧源に入る電解コンを47uFからなんとなくOSコン10uFに変えてしまっていたのが悪さをしてかなり電源ノイズが入る。Philipsもなんか今回は相性が悪いのか、変な音になってしまった。
トランジスタは手前が2SC1399、奥が2SA726。いずれもコレクタの足をくにゃっと曲げてOPアンプの電源ピンが入っていた場所に引っ張っている。2SA726ではなく通常のピン配のPNPトランジスタを使う場合、PNPトランジスタも2SC1399と同じ向き植わることになる。


現在の様子。

5Vのツェナーの動作は、たぶんツェナー降伏とアバランシェ降伏が半々程度で、そのために温度特性が安定している電圧なのだけど、どこかでアバランシェ降伏の方がノイズが少ない、というような話を読んだので15Vのツェナーに変更。電源ノイズ対策として定電圧源のフィルターのOSコン10uFを日ケミKMG100V/100uFに変更し、パターン面側でツェナーにも68uFのタンタルコンデンサをパラに。電源出口のPhilipsは、日ケミKMX200V/560uFに変更。電源ノイズは大幅に減り、KMXも大活躍してるような音がする。


現在の様子を別の角度から。

斜めに植わっているのがツェナー駆動用の定電流源替わりの抵抗、2.2kΩ。約1mA流します。正負それぞれのKMXの根元、2本ずつ外してあるのが分圧用の抵抗。この無帰還電源への改造は、既存のPCBパターンに全く手を付けないで実現してるところがポイント。
KMX 200V/560uFというコンデンサディスコン品のようなのだけど見るからに音がよさそうでいい感じだな。見つけたらまた買っておこう。


回路図はこう↓


ちなみに今回いじる直前の回路図はこう↓

ここでははしょってるけどOPアンプには平滑しただけの+電源が入ってきてるわけだし、OPアンプが入っていた場所にトランジスタを植え替えるだけで、今回の無帰還版に変更できることがわかると思う。


電源をいじった後で、DAC/アナログ基板上の電源デカップリングC、高価なSILMIC 50V/220uFを、日ケミKXG 250V/100uFに替えてみた。日ケミKMGの高リップルインピーダンス長寿命版だ。ところがこれがぜんぜんだめ。涙。抑えつけられたような伸びのない、低音の出ない音。一晩たっても駄目なのでSILMICに戻したら、音も戻った。よかった。
CDP-XA5ESのようにコスト管理の厳しい価格帯の機種に、不相応に高価な部品が入っていたら、それは意味があるときもある、ということか。電源の出口、日ケミKMX 200V/560uFにしてあるところ、もともとのMUSE 63V/1000uFに戻すか、別途買ってある黒MUSE 50V/1000uFを試してみてもいいかもしれない。


で、電源からOPアンプと負帰還を追放したことの音質向上への寄与はよくわからない。負帰還がかかっている状態でもものすごくいい音だったし、負帰還ということへのプラセボか、安定した低音が出ていたような気までする。蛇足の真骨頂かもしれない。なむ。


まだまだじわじわ続くかも。