Musical Fidelity A200 (2) OPAMP Rolling



1年くらい前にセレクタとボリュームのシャフトのジョイントをプラスティック製のものに交換したMusical Fidelity A200。ここ最近はヘッドホンアンプにかまけてしまって放置してしまっていたのだけど、引越してからHarbeth HL4に繋いでなかなか活躍。


1982年に創業した英国のMusical Fidelity社は、1984年に発売開始したA1というプリメインアンプが有名で、どうして有名かというとほぼ純A級のシングルプッシュプルで20W/chしか出ないところとか、分厚い天板全体がヒートシンクになっていて目玉焼きができるほど(実際にはより熱くなるA200でも、おいしく食べられるほどには焼けない)熱くなるところとか...。


A1や、A100、A200といったシリーズは、純A級(プッシュプルだから大入力に対してはクリップする替わりに自動的にB級に切り替わってしまうからほぼ純A級)の出力段を持っているところからしてパワー段重視の設計。プリ段は、OPアンプを反転で2段重ね、2段目のフィードバック抵抗をボリュームとして音量を調節するという構成で、昔から批判が多く、プリ段をスキップしてしまったり、非反転OPアンプ1段のごく普通のプリ段に置き換えてしまったり、というような改造が試みられている。


数年前に、韓国は城南市のヤタップ駅前の韓美音響でA200を買って以来、回路変えてしまうのはどうかと思うからOPアンプを変えてみよう、と、標準のTL084をAD8620x2に置き換えたりして、確かに音はすっきりと見通しよくなるのだけど、自作の変換アダプタはごちゃごちゃして格好悪いしどうも釈然としない。ちなみに「韓美音響」というのは、韓国の美しい音響、という意味ではなく、韓国と美国(アメリカ)の音響、という意味である。


せっかくHarbethに繋がるメインのアンプとして復権して、卵を焼いてはげてしまった天板も塗装をし直してきれいになったのだから、と、見た目もすっきりきれいな4回路OPアンプをいくつか試してみた。



TL084直系の後継機種、TIのTLE2074。40V/usを越えるスルーレートを初めACスペックが大幅に改善されている。TL07x/08x同様、1回路版から4回路版まで用意されている。音は、TL084の雰囲気を残しつつ若干デフィニションが向上しているか。ゆったりした雰囲気は相変わらずで、悪くない。



バーブラウンによるOP27リプレース機種であるOPA227の4回路版、OPA4227。OP27に対してACスペックが向上しているとは言え、もともと遅すぎた石に対しての向上だから、スルーレート2.3V/usとかセトリングタイム5usとか。そういった数値のプラセボ効果もあって、音はもこもこ。これだったらTL084の方がいいや。



TLE2074と同じTI社の新しいExcaliburというプロセスによるバイポーラOPアンプ、TLE2144。これはTLE2074をさらに上回るACスペックで、スルーレートは40Vを越え、0.01%までのセトリングタイムが400nsとかそこらのオーディオ用高速OPアンプでも簡単には歯が立たない値。それでいて電源電圧が4V〜44Vだったりするあたりが大会社TIの底力というものか。音は、ぼく驚いた。AD8620x2を入れていたときでも、こんなにディテールの表情に富んで、こんなにしみわたるような音はMusical Fidelityからは出てこなかった。


TLE2144、恐ろしいやつかもしれない。2回路版のTLE2142、1回路版のTLE2141と揃えてあるので、もっと工具や部品を発掘したらヘッドホンアンプでも試してみよう。



僕のMusical Fidelity A200は、電解コンデンサのドライアップを嫌って、小さめの電解コンデンサはほとんど固体タンタルで置き換えてしまている。英国のアンプ、たとえばメリディアンの中身を見ると固体タンタルが行列していたりもするから、これはこれで悪くないと思っている。



フォノイコ段はTL082のまま。もっと部屋が整理できてから、実家に避難させてあるDUALのアナログプレーヤーを繋ぐ予定。ここのOPアンプは2回路だからなんでもかんでも試し放題なので、LT1028x2やLT1469-2を載せて聴くのが今から楽しみ。はやく部屋を片付けよう。
写真の右上、A200側面の放熱用スリットの間から見えているヒートシンクは、最近愛用のCDプレーヤー、ソニーCDP-101の電源のヒートシンク。Wadia Proやら16やらにまで手を出して、いろいろなCDプレーヤーやDVDプレーヤーを改造して、結局使っているのはCDP-101かよ、とも思う。このプレーヤーは、叩くと音が飛ぶ。