アンプを修理してました


月1〜2回の台湾出張でなかなか身動きが取れない中、じわじわとアンプの修理をしてました。上の写真は台北市内。


まずは友人からの預かりもののQUAD33。

QUADの最初の、そしてディスクリートの、トランジスタのプリ。NPN型しか使われてない。この後の44や34ではOPアンプになってしまうのだけど、音の感触はきちんと保たれててなかなかすばらしい。
長期に渡って作られていたモデルであるため、内部の部品や、基板まで、いろいろバリエーションがある。たぶんこの個体は比較的初期のもの。フォノEQのトランジスタがメタルカンタイプのBC109だったから。


BC109にはメタルキャンとTO92とがある。

メタルキャンのピン配は日本のトランジスタと一緒だけど、TO92の方はぜんぜん違うので注意。


手元に来た時の症状は、発振、フォノ音量不足&片チャンネル出ず、ボリュームがりがり、バランスボリューム動作不良、などなど。結局部品の交換が必要だった症状は一切なく、やって効果があったことと言えば...



プリアウトケーブルの作り直し。発振が消えた。



メインボリュームの分解清掃。安心して安定して使えるようになった。




フォノEQ関連の基板のパターン切れ修正。フォノEQちゃんと鳴るようになった。



バランス・トーン回路部分のパターン切れ修正。バランスボリューム機能するようになった。


このアンプの最大の難点は、パターンの弱さとスリップケースのエッジとアンプ底面基板パターン面とのクリアランスのなさ。スリップケースを引き抜く際に、パターン面の部品の足にエッジを強くひっかけてしまうと、簡単にパターンが剥がれたり切れたり。なむ。


出力バッファアンプ基板の入力カップリングCの容量が0.068uFで、試しに2.2uFにしたらいいように感じたので、元のパーツと一緒にその状態で納品したら、「音に格調がない!」と速攻で元の0.068uFに戻されてしまった。ううう。

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もうひとつは進行中。ソウルに居たときに、会社そばの城南市ヤタップ駅の中古オーディオ屋「韓美音響」で買ったMcIntosh MC2505。

これはMcIntosh初のトランジスタパワーアンプである。使用素子はやっぱりNPN型だけ。NPN型とすこしのPNP型。


ソウルで、切れていた電球を交換して、接触不良だったスピーカースイッチは分解清掃して、ハーベスに繋いで使っていた。日本に戻ってから、手持ちの他のパワーアンプと比べると高音があまりにも出ていないように感じてしまい使わないでしまっていた。なんにしても電解コンデンサは交換すべきだろうし、左側のVUメーターがきちんと動いてないのは気持ち悪い。QUAD33の修理完了で、工具やパーツなどのお膳立てができていたのを利用して修理に着手。


どこかのオーディオ修理屋さんで、web上に経過を報告しているところがある。
http://amp8.com/tr-amp/foreign/mcintosh/mc2505-2.htm
配線とか部品の向きをメモし忘れていた場合などにとても助かる。今回は、サービスマニュアルがあったのでそれほどでもなかったけれど、部品がオリジナルかどうか、というようなことは、こういうサイトがとても参考になる。なんだかとてもありがたい。



VUメーター制御基板、修理後。電解コンデンサ交換以外に、半固定と制御用Trも交換した(よくわからん奴→2SC1815)。左側のメーターも元気になった。



初段基板、電解コンデンサ交換後。



パワー部の基板のコンデンサは、ちょうどいい色と大きさのものがあった。



パワー部の基板、コンデンサ交換後。
右下の、熱結合されているトランジスタがこの基板の入力段の差動。上にURLを載せたサイトで紹介されている2台のMC2505では、この部分、熱結合はされていない。手間がかかっている、ということは、この僕の個体は初期のものなのかもしれないな。と悦に入りながら修理をすすめます。初期型信仰、あるいは、古ければ古いほどいい信仰、があるらしい。


上のサイトの2例では、電源の平滑コンデンサ、ブロックコンデンサの交換が1例、パラにごちゃごちゃ追加して対応が1例。銀色の格好いいコンデンサはそのままにしたいので後者で行きます。

電源部、コンデンサ追加後。
右下に足が見える電解コンデンサが謎。上のサイトに限らず、どの修理写真をみてもこのコンデンサには配線がされていない。サービスマニュアルの回路図では、ちょうどこの場所にコンデンサがあって配線されているように書かれているのだけど、回路図上の容量と、実際に載ってるコンデンサの容量はマッチしない。



電解コンデンサ交換後、底面から。ちゃんとチューブラ型の電解コンデンサを買ってきておいてよかった。格好いい。



しばらく通電してエージングします。


スピーカースイッチの接触不良がまた出てきてしまったので、ばらして清掃をやりなおす予定。