Sony CDP-777ESAの話 (4)


CDP-777ESAの、DAC以降のアンバランス出力回路を総取っ替えしてしまおう、という企画のほぼ最終回。


★オリジナルの回路
DAC→OPAMPバッファ→OPAMP差動合成→OPAMPによるシミュレーテッドインダクタを使った高次LPF→FETプッシュプルバッファ→OPAMPによるDCサーボ

★改造後
DAC→金田式風味低オープンループゲイン差動合成兼バッファアンプ→(出力カップリングC)


一週間くらい前に筐体内に組み込んだ電源回路とアンプ基板とを接続したのだけど、原因不明の-4VくらいのDCが出てしまっていた。結局原因は、DAC側の電源系のコネクタ付け忘れ、と、2Vのつもりで使ってたツェナーが1.5Vしかなかったこと。ちゃんと測定してから使うべし、という教訓。トランジスタの定電流回路で、ツェナー電圧からVbeの0.6Vが引かれた電圧が、1.3Vのつもりのところ0.8Vになってしまってた。動作電圧の低いツェナーを使うと、こういうコンマ何ボルトかのばらつきが動作点を左右する、という教訓も。


とりいそぎVfが2V弱のLEDを付けて、ちょっと足りない分2段目PNPエミッタ接地のコレクタ負荷を2kΩから2.2kΩに変更して動作点のつじつまを合わせた。現在の回路図は↓



オープンループゲインは1倍強で、クローズドゲインもだいたい一緒。CXD2562QというDACはたぶん5Vの単電源動作で、DACからの差動電圧出力には2.5VのDCオフセットが乗っている。初段差動増幅部のエミッタ間にいれた半固定で出力のDCバランスを調整できるようにしてあるけれど、温度ドリフトはするだろうし最終的には出力にカップリングCを入れる予定。OPアンプ的な設計では2段目のエミッタ接地のコレクタ負荷を定電流負荷などにしてゲインや振幅余裕を稼ぐであろうところを、この回路では、抵抗負荷としてオープンループゲインを抑えている。オープンループゲインを抑えて帰還量を減らしたことで、各段のベース入力にシリーズに挿入することの多い抵抗を外しても発振しなくなっている。


動いているところ↓



音は悪くない。
良い > 悪くない > 普通 > 良くない > 悪い、の上から2番目だ。オリジナル状態のCDP-777ESAは忘れてしまったけれど、オリジナル状態のCDP-XA5ESよりは全ての面でいい(もちろん主観)。弱音部で音の表情が一本調子のフヌケになったりしない。CDP-101と比べても、低域の混濁のない感じ、ステージ上の距離感の再現、など部分的には良いところがいくつもあると思う。


悪くない、にとどまってしまっているのはどこか音楽が硬くて、乗りが悪い気がするから。今載せてるトランジスタは、2SC1400、2SC1010、2SA726、2SC960、とそうそうたるメンバーなので交換して何かが向上する余地はあまりない気がするけど、ソケットにしてある2SA726と2SC960は、2SA606や2SB716、2SC984や2SD756や2SC97Aあたりも試してみよう。アンプ基板上での電源インピーダンス低減用にOSコンを載せてみたけれど、これが悪さをしている可能性もあるかもしれないな。とはいえ、聴いているうちに音がやわらかくなってきたような気もするから、ゆっくりまったりチューニングしていこうと思う。