Sony CDP-XA5ESの話 (8) 完成
電源の変更も終わり、音出しを待つ自作金田式風味ミキシングバッファアンプの勇姿。
まだこの段階では、下の基板には両面テープで固定。
音、でた。
ノイズがシャーシャーといっぱい。orz
ノイズは、バッファを試作電源で動かしていたときと同じ性質のもので、あの時、入力配線などが伸びているからでちゃんと実装すれば消えるだろう、と思っていたもの。あてが外れた。涙。
自作バッファ自体は、CDP-777ESAとの組み合わせでノイズもなく動作していたし、CDP-XA5ESにしても、CXD2562QというDACといい、CDP-777ESAとほとんど同じのはずだ。せいぜいデジフィルの違いくらか。唯一の心当たりと言えば、777ESAではDACからの信号に対して、同相信号間、あるいはHOTとCOLD間に220pF程度のCが挿入されていて、信号に直列に入る抵抗との組み合わせでLPFが構成されていたこと。
おおざっぱな計算ではこのLPFのカットオフ周波数は可聴帯域外の100kHzあたり。関係ないねー、とXA5ESでは無視してしまっていた。数MHzで動作する1bit DACというのはノイズシェーピングという量子化ノイズを可聴帯域外に放り出す仕組みと不可分で、ここのスモールCがないと、100kHzとかそれ以上の大量のノイズがバッファや後続のアンプに入って行っているのだと思う。この可聴帯域外のノイズと、バッファやアンプのなんらかの特性とが混変調歪みを発生し、可聴帯域内のシャーシャーノイズに化けて出ている、というようなことが起きているのだろうか?
他に心当たりもないので、スモールCを入れてみることにした。こんなん↓
※注意:この図、間違えました。HOTとCOLDの表記が上下逆です。正しくは、下がHOT。
うまく行くかどうかわからないので実装はいい加減。
青い四角が470pF。ここは220pFか100pFあたりの方がいいかもしれない。
音、でた。
ノイズでない。
不思議なものだなー。
機嫌よくCDを取り換えながら聴いていたら、特定のCDで、女性ボーカルのフォルテで音がビビる症状が。これはどこかのDレンジが足りていない症状の典型だ。心当たりはある。またしてもCXD2562Qとバッファの間で、777ESAに比べて抵抗値が足りていない。いやほとんど足りてはいるので、このビビりに777ESAのときは気がつかなかっただけかもしれない。
CXD2562Qの出力インピーダンスはわからないけど、バッファまでの途中の抵抗値は、6.8kΩのパラと3.3kΩとで6.7kΩ。自作バッファの入力インピーダンスは、と言うと、
オープンループゲインを抑える設計なので、初段の差動のエミッタ抵抗がそれなりに高めの2.2kΩ、そしてなによりも初段の2SC1400はUランク。少なく見積もってもhFEは500はあるだろう。というわけで、ここのベースの入力インピーダンスは第0近似で1MΩ。入力のグランドへのシャント抵抗100kΩを加えてバッファの入力インピーダンスは100kΩ弱。
ただただ直列に抵抗を入れてゲインを下げようと試みるには手ごわい入力インピーダンスの高さだ。とにかくこのビビりが、バッファのDレンジと入力信号レベルのミスマッチにあるのかどうか、は至急確認したいので、信号がバッファに入るところで、22kΩの抵抗と、10kΩのシャント抵抗とによる信号レベルの分圧をすることにした。これで1/3のレベルになる。
実装。
バッファの入力のところにぽこぽこ植えたのが分圧用の抵抗器。
音でた。
ノイズでない、ビビらない。
やっと一安心。
777ESAというお手本があったとは言え、試聴で出た不具合に対する検討と対策が2回連続で当たったので満足度が高い。最後の2ヵ所の対策は仮実装ではあるけれど、一応これで完成。ぱちぱち。
自作バッファ基板を下の基板にネジ止めして、配線もきれいにして記念撮影。
そうそう、バッファアンプの差動のエミッタの可変抵抗で出力DCを調整するのだけど、温度ドリフトがとても大きいので出力にカップリングCを入れることにした。上の写真では6.8uFのフィルムコンデンサ。このコンデンサ、ある低音がやわらかくボケてしまう気がしたので今は47uFの電解コンデンサにしている。
現時点での回路図。
上が改造前、下が改造後のアナログ出力段。改造前の図は、DCサーボ関係は省略してある。
バッファ中のPNPのエミッタ接地とNPNのエミッタフォロワは、交換試聴をしたかったので抜き差し可能にしてある。ためしにA726とC959のところを、A896とC1811に替えて聴いてみた。ま、相手が悪かったと思うのだけど惨敗。A726、C959に速攻で戻しました。
今後の追加改造計画は下記。
- 絶対位相が反転してしまってるかもしれないので再確認する
- LPFの470pFを100pFくらいにする
- 出力カップリングCの種類と容量を試行錯誤する
- DAC/アナログボード上の電源デカップリングC、Silmic 50V/47uFと220uF、MUSE 63V/100uFを、ニッケミの非音質品に替えてみる
- DAC/アナログボードのグランドラインを強化してみる
- DAC/アナログボードからバッファ子基板へのグランド線の配線を強化してみる
- ヘッドホンのラインに5個も6個も入っているコイルを外してみる
- NJM4556一発のヘッドホンアンプを強化してみる。AD825にする、LM6172にする、OPA627+BUF634あるいはOPA627+ディスクリートプッシュプルバッファにする、などなど
- 電源のトランジスタを負帰還ループから外す
- 電源のOPアンプをやめる
- 電源の制御トランジスタを聴いたことのあるパワートランジスタに交換してみる
まだまだなかなか盛りだくさん。これをやってる間にまたメカがへたってきたりしたら涙だなー。なむ。