サンスイ AU-9500の話 (4)

修理済み品をヤフオクで落としたサンスイAU-9500。各部の機構は快調だけど、高音は曇り、低音ぼこぼこで伸びず、と音はかなりいまいち。修理で交換されていなかった部品の劣化、2SA726->2SA992など修理で交換されたトランジスタの影響、もともとの設計や部品の特徴、といまいちな音の原因はいろいろあるだろう。
まずは奥まったところにあって手を入れるのが一番大変そうで、かつトランジスタを一番たくさん交換することになるラインアンプ基板を取り出して、ついでに外したプリ部ドライバー部用電源&保護回路基板ともどもいろいろ部品を交換したところまでが前回。

前回までのチェンジニアリングで音は変わった。高音はすこし抜けるようになったけれど、少々荒っぽい印象。低音は、すこし伸びてきたように感じる(プラセボ効果程度?)けれど、ボコボコ感は相変わらず。いっぱい変えたのでもっともっと音も変わるか、と期待していたのだが、すこし期待はずれ。

残るチェンジニアリングは、
・ドライバー基板
・出力トランジスタ
・電源平滑コンデンサ
などなど。
今回はもっとも根本的な対策と思われる電源。


世の中のwebの改造記事や回路図説明をつらつら読むと、信号経路うんぬん、電源回路うんぬん、という説明によく出会う。曰く、信号経路からコンデンサを追放、とか。


これはおかしい。
おおよそ増幅素子というものは、コレクタエミッタ間なりドレインソース間なりプレートカソード間なりに印加されるDC電力を、ベースなりゲートなりグリッドなりに印加される制御信号によって変調して出力する。DC電力と制御信号とのそれぞれの受けの入力インピーダンスの違いを考えれば、DC電力の品質には制御信号よりも一層の配慮が必要なことは自明だし、音楽信号が最も強い電力量で流れるのは電力系であることもあたりまえだ。ある素子での増幅率がとても高い場合には、制御信号のノイズ量の影響が出力信号品質に対して支配的な要因になる場合もあるだろう。でも、ラインアンプやパワーアンプ程度の増幅率で、制御信号を電力側よりも重視する理由はない。と思う。



これが元々の状態。4本並んでいるのがパワーアンプ出力段用のELNA製63V/4700uFで、その左、金属板の内側のすこし小さめのがプリ・ドライバー段定電圧電源用のやはりELNAの100V/1000uF。
後者は、サービスマニュアルの回路図では80V/1000uFとあるので購入前の修理で交換されているのかもしれない。AU-9500という機種、おおらかな時代の製品だけあって、webに載ってる分解写真などを見ると、ラインアンプ入力部のカップリングCが、個体によって電解CだったりタンタルCだったりフィルムC(僕のはこれだった)だったりとまちまちのよう。ここのコンデンサも、100V/1000uFはオリジナルなのかもしれない。
ちなみにハンダ吸い取り線によるGND配線↓は、どうやらオリジナル。



出力段電源用の4本のコンデンサの端子部はこう。8.2kΩのブリーダー抵抗が入っている。出力段の電源電圧は+/-49Vなので約6mA流れる。平滑コンデンサを直結するブリーダー抵抗は、実使用時の電源電圧の変動を抑える、とかいろいろ効果があるように言われてるけど、いまひとつ理屈が分からない。聴感上効果がある、と書いてあることもあるけれど、ありなしの差を試したことはまだなし。



プリ部ドライバー段用のコンデンサの端子部。ブリーダー抵抗はなし。


平滑コンデンサを交換し、メイン側のブリーダー抵抗はそのままに、多少コンデンサをパラってやろう、というのが今回のチェンジニアリング。


コンデンサのサイズを計ってみる。
メイン ... 40mm(D) x 80mm(H)
プリ ... 30mm(D) x 50mm(H)

ニッケミのKMHが使えないかな、と思って調べてみるとKMHには径40mmというのはなく、あるのは径35mm。35mm径のKMHは手持ちで100V/3300uFがあったので見比べてみると、5mmの差はかなり大きく見た目がかなりいまいちになってしまいそう。
小さい1000uFの方は、多少大きくなるけれど、KMHの35mm径がたぶん使えそう。ここは手持ちの3300uFにしてしまってもいいのだけど、どうしよう。
などというあたりまで考えて、秋葉に行ってみた。



秋葉原、ガード下のコンデンサ屋さん。