Sony CDP-XA5ESの話 (2)/ふくらむ構想



どこかにCXA8042のデータシートが落ちてないだろうか、とググッてみたけどデータシートは簡単には見つからない。重宝しているサイトにもない。その替わり、CXA8042を搭載したCDプレーヤーやSACDプレーヤーに関する海外のサイトがひっかかり、中には改造ネタもある。CXA8042はバイパスしちまおう、とか。


カレントパルスDAC構成でソニーがパルス生成器という名前を付けている部分、CDP-XA5ESではCXD2562Q、SCD-XA777(SCD-777ESの海外版??)ではCXD9521、は、CXD2562Qが前世代機で完結したDACとして機能していたように、電圧出力のDACである。僕がみた海外の改造話では、CXA8042を付加することで生じる回路的な冗長さを嫌って、CXD9521の電圧出力をそのままバッファ段に引っ張っているよう。


CDP-XA5ESのDAC以降の部分のブロック図(上図)を見る。IC603、CXD2562Qの持つLRそれぞれパラに出ている電圧差動出力がそのまま(実際には330Ωの抵抗がシリーズに入ってる)IC404、CXA8042Sに入っている。CXA8042Sからは、IO1、IO2という、名前からして電流出力と思われる出力端子があり、それの+と-が、クロスに結線されてIV変換される。


データシートはなかったけれど、CXA8042SというLSI、入力と出力の端子以外は全部電源関係の端子のようで、周囲にコンデンサが一杯ぶら下がる変わった石だ。英文改造サイトでは、CXA8042S導入のソニーの意図についてなにやら信号処理的な観点から書いてあったけど、回路図からは、CXD2562QなどのDACが置かれる電源環境とは違う電源環境で外に出す信号を作りたい、というような電源強化対策に見えないこともない。そのサイトでは、CXA8042&OPアンプIV外しには恐るべき効果がある、とされているけれど、OPアンプがへたれだっただけかもしれないなー。


前段DAC、CXD2562QのL1とL2は同じ信号のパラレルなので、それを受けて電流が出てるらしいCXA8042SのIO1とIO2には、同じ電流出力が出てるのではないか、と想定できる。とすると、上のブロック図のように、IO1+とIO2-を繋いだら、信号が出なくなってしまうんじゃないか、と思うのだけどどうなっているのだろう。なんらかの設定でch2がdisableされている、と考えるとこの結線でいいようにも思うけど、真相は不明。


当面は、CXA8042Sは使う状態で考えよう。



↑アナログ用定電圧電源回路。
定電圧レギュレータICの中身をせこくしたような回路かな、ディスクリートにしたのは電流量を稼ぎたいからだと思う。制御トランジスタダーリントンではなく1個だけなのは、ベースに信号を入れるのがOPアンプだから、ということか。僕の勉強不足かもしれないけれど、出力電圧を容易に設定できる必要はないと思うのに、どうして分圧しているのか分からない。だから、どうしてOPアンプを投入して負帰還なんてかけなければいけなかったのか、も分からない。無反省に3端子レギュレータの中身をコピーした、なんてこともないだろうに。


そもそも、この回路が電源を供給する相手はOPアンプばっかりで、しかも深い負帰還がかかって使われているのだから、整流平滑しただけ電源を引っ張ったって絶対にハムノイズなんて乗らないはず、と思う。


などと考えていたら、最初の一歩でやるべきは、ここじゃないかという気がしてきた。アナログ出力回路のOPアンプは辞めるので整流平滑しただけ電源にはできないけれど、電源回路からOPアンプを外して、制御トランジスタの型名を選んでダーリントンに組む、というだけでも相当変わるように思う。