MHPA-FET (8) 12V充電池 & Zen Head


ごく最近、ヤフオクに12Vで1800mAhというふれこみの2次電池が大量に出品されてきていて、2000円ちょっととリーズナブルなので、はずれ覚悟で買ってみた。モノは、Li-Ionの3セルで定格は10.6V、満充電時実測12.5V、終了時開放実測9.5Vくらい。充電用の専用ACアダプターが付属していて充電時間は8時間とある。電池とアンプを繋ぐ50cmほどのケーブルも付属していて、端子は両端とも標準的なDCプラグ、外径φ5.5mm内径φ2.1mm。
これを使えば、アクティブGNDを追加してさらに電流を喰うようになってしまっているMHPA-FET改を外に持ち出すことができて、強力なおでかけセットを作れるのではないか、という目論見。



強力おでかけセット、iPod Touch 1Gen → MHPA-FET&ヤフオク12V充電電池 → DT770PRO/250。
MHPA-FET改は出力パワーFETにがんがんアイドル電流を流してホカホカする設定になっていたので、GNDチャネルは30mA、L/Rはそれぞれ20mAくらいに減らしてみた。OPアンプを、GNDがOPA627、L/RはがT1028、とした状態でのトータルの消費電流は実測で110mA。15時間くらい持つ、かもしれない。


自作の無帰還型15V定電圧電源や、定格が12V1.2Aの市販トランス型ACアダプター(100mA時実測16V)を使ったときと比べると、よりすっきりとしてノイズ感のない、でもしっかり力感のある音が聴こえるけれどプラセボの影響大だろう。電圧はNiMHx7セルの006P互換2次電池よりも数V高いだけなのだけど、この辺りの数Vは海外製のヘッドホンを鳴らせるかどうかにとってはクリティカルで、今回のこの電池の場合、HD650は楽勝、DT770PRO/250はぎりぎりなんとか、K-501はまだ辛い、というところ。NiMHx7ではHD650でも辛かったから、本当に電池が15時間もつのであればこれはうれしい。


電源のケーブル、iPodのケーブル、はもっと格好よく作り直そう。

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アメリカのDECWAREという真空管アンプのガレージメーカーが比較的最近出した、OPアンプベースのポータブルヘッドホンアンプ、Zen Head ZH1キットもあるけど僕のは完成品。電源は006P x 1。ボリュームノブは秋葉で買ったものに交換してしまっている。


抵抗やコンデンサなど要所要所のパーツ選択によるVoicing、ヒアリングで追い込んだCross Feeding回路の搭載、といったところが売り。OPアンプは普通にOPA2134 x 2で、L/Rそれぞれに2回路ずつ使われている理由はCross Feeding回路搭載のため。脳内定位をやわらげ、より自然なスピーカー風の聞こえ方にするCross Feeding回路は、Headroom製などいくつかのポータブルヘッドホンアンプにも搭載されている。普通は外からON/OFFできるようになっているのだけど、Zen HeadはON推奨で、OFFにするには筐体を開ける必要がある。


僕の買ったロットはPCBに不具合があり、メールでやり取りしながら基板改修をすることになった。その過程で、どうせなら電解コンはMuseに替えるといいよ、という話も出たので替えてみた。しょうもない話ながら現行のRoHS対策品のFWでは音がまとまらず、製造中止の緑色のFXだとすばらしい。なんのプラセボだろう、これ。鉛? 色?


さすがに音質はかなり特殊で、手持ちのほかのアンプとは単純な比較が難しい。OPA2134からこんなに元気な切れのいい低音が出るのか、と驚いたけど、Cross Feedingの効果かもしれない。Cross Feedingは、曲によって効果の程度が変わる感じがする。おおまかに言って、クラシックよりもPOPS系の方が効果がわかりやすく、たしかにこれはONの方がいいかも。OPA2134 x 2をOPA627 x 4に替えてしまいたい誘惑と戦いながら、数100時間のエージング必要だよ、という言葉を守って我慢しているけれど、うー、つらい。


電池の持ちはとてもよく、マンガンの006Pでもそこそこしばらく使える。電池室にはプラスティックの蓋があって、ネジを外したりしなくても電池交換が可能。大きさはあるのだけど、楽しく元気に鳴る音質といい、電池周りの便利さといい、持ち歩くのが苦にならない、いいバランスの機械だと思う。