CMoy (30) Triple.fi 10 Pro & TLE2141/TLE2142


CMoyも無事に2号機をロールアウトして一段落。ドックケーブルを作ったり改造したりしながら、中音域が派手に張り過ぎていて駄目だな、とずいぶん前に没にしていたOPアンプ、TLE2141/TLE2142を再度試してみた。4回路品のTLE2144は、TL084の替わりにMusical Fidelity A200のプリ部に収まって、Musical Fidelityらしいか?言うと疑問はあるけど大活躍しているので、CMoyでおかしな音がでるのは納得できないのだ。



2回路品であるTLE2142。


TLE214xはデータシートの値がすごい。だいたいTIのデータシートはちゃらちゃらしたところがなく、極めて真面目一本槍な書き方で、TLE214xのデータシートも「Excalibur」とかいう派手なプロセスの名称を除いては、その例に漏れない。


データシートの1ページ目のヘッドラインには、

  • Slew Rate ... 27V/us
  • Gain Bandwidth Products ... 5.9MHz
  • Settling Time ... 400ns
  • Short Circuit Current ... 20mA

などとスペック上のハイライトが並んでいて、これらはこれらで立派な数値ではあるけれど、実はみんな仕様書上のMin規格値で、仕様書を読み進んでいってTypical値を見ると、

  • Positive Slew Rate ... +45V/us
  • Negative Slew Rate ... -42V/us
  • Unity-gain bandwidth ... 5.9MHz
  • Settling time (0.01%) ... 0.22us
  • Short-circuit current ... -50/+31mA

と立派さにさらに磨きがかかってくる。まじめというか、なんというか...。


もう数字を見るだけでいい音が聴こえてきそうなスペックだから、前にCMoyで出てきた音はやっぱり腑に落ちない。


TLE2142をL/Rに、1回路品のTLE2141x2をA47接続したものをGNDに入れて、聴いてみた。なんだなんだー、やっぱりいいじゃん。仕様書通りの音じゃん!


仕様書の値のみならず、きまじめ、というところまで仕様書通り。LT1469-2あたりで感じられる暴走気味の勢いの良さのような脚色もなく、きっちりかっちり、ひたすらソースの情報をイヤホンに送りこんで来ているような印象。引き締まって歯切れのいい低音感じなどは、LT1028に匹敵するかもしれない。


以前試したときと違うのは、

  • やふおくケーブル -> 修理したDOCK STAAR
  • SHURE SE530 -> UE Triple.fi 10Pro

というあたり。イヤホンは、確かに少しでも中音が張っていたりしたらSE530ではそれがより目立ち、Triple.fiではそれがバランスのいい方向に働きそうだ。愛用していた黒いシールド線のやふおくケーブルも、全幅の信頼を置けるしろものってわけではなさそうだし。


調子に乗って3ch改造したMHPA-FETに入れてみたら、今度はやっぱり腰高できつすぎる感じの音。メジャーなオーディオ用のOPアンプとは、どこか必要なチューニングのポイントのようなものが違っている気がする。なかなか難しい。

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CMoy用、Triple.fi用として復活したTLE214x。
手のひらを返したように絶賛愛用中。