マルツ MHPA-FET Kit (4) 穏やかな音、完成



一生懸命に糸で結束した配線。



ユニバーサル基板から、3/4-chアンプ用の子基板を切り出してみた。固定ネジの周辺が使えなくなるので大きく見えても結構狭い。



マルツの基板に穴開けて、子基板用の電源も引っ張りだす。これですべての線の準備ができて、子基板に部品を実装するための背水の陣がひけた。



GND用アンプを実装。



子基板の回路図はこんな感じ。FETとOPアンプに付けてあるパスコンは書き込んでいない。
出力GND-ch用のアンプは、ほぼマルツのL/R-ch用のものと同じ構成。DCオフセット調節と出力カップリングコンデンサは省略。OPアンプ+バッファという構成の自作ヘッドホンアンプだったら絶対こんなものは入らないし。きっと商品として売るためにはいろいろ事情があるのだろう。MOSFETのフォロワの抵抗は手持ち部品の関係で5.1Ωから10Ωに変更。MOSFETも手持ちの都合でJ77/K214からJ76/K213に変更。ここに20mAを流す予定でこれはL/R-chと一緒。信号系のGND用のアンプは、OPアンプのボルテージフォロワ1発。



マルツの基板の裏面。
真ん中に、左右に走る幅の広いGNDラインがある。これをパターンカットして、分圧しただけのGND、信号系用のGND、出力系のGND、の3系統に分離し、子基板のアンプからGND信号を引っ張ってくる予定。
右の方、赤い線と黒い線とがVの字になっているのは子基板への電源供給線。その上の黒い線はDC電源入力系で、画面上の白い2本は基板を切って小さくしたときに一緒に切れてしまったパターンの修復。



子基板を載せてみた。あと15ヵ所配線のハンダ付けをすれば完成。



ハンダ付け完了。ふぅ、やったぜ。次はDCとバイアス電流の調整だ。



調整中。
まずは子基板の出力GNDアンプのバイアス電流を20mAに。ここはとりあえずマルツ指定のL/R-chと同じ値。念のためDCも見てみると、OPアンプを外した状態で0.2V前後。ゲインが低いこともあってOPアンプを入れるとちょうど0V。正しく動作しているっぽい。OPアンプはLME49720。
次にマルツのL/R-chの調整。バイアスはやはり指定どおり20mAに。写真はL-chのバイアス電流を調整しているところ。0.102(V) = 20(mA) x 5.1(Ω)。



すべての調整が正常にリーズナブルにできたので予想はしていたけれど、一発で音が出た。すばらしい。



完成記念写真(内側)。
マルツの基板は、大きめのケースに入れると、すこし間延びしてしまうと思うのだけど、ぎりぎりのケースで、子基板なんかも乗っているので、中身が詰まったアンプという雰囲気になった。



完成記念写真(外側)。
電源、でかすぎ。どこかにさくっと充電できて1000mAhくらい楽勝でとれて12Vくらいの充電池はないものだろうか。


音は、さすがにこれだけいろいろな部品が載ってるアンプだからエージングによる変化はあると思うけど、とりあえずはゆったりと安心して、余計なことを考えずに聴ける雰囲気。LME49720(LM4562)の、素直な奇をてらわない音がそのまま出てきている感じ。L/R-chにアダプタかませてOPA627x2を載せてみたら少し音に気合いがこもってきた。
低音の迫力、高音のこれみよがしな繊細さ、みたいなものは、4ch-A47-C960アンプ(長い。名前を考えよう)の方が出ている。一方、4ch-A47-C960アンプでは曲によってはサ行が鋭くなることがある。MHPA-FETの方には素子直近のパスコンや入力部の抵抗などがきちんと入っているけれど、4ch-A47-C960アンプでははしょってしまっているからかもしれない。発振ぎりぎりで動作しているのかなー。


これで、しばらく楽しくOPアンプローリングで遊べる。