큰 나라 (クンナラ)


韓国人は大きなものが大好きである。クルマ、クーラー、テレビ、おうち、etc、etc。とにかく大きいことは、無条件に素晴らしい。会社で役職が上の人は道徳的にも素晴らしいし技術的にも卓越している(いなければならない)、というように、ものごとを評価する軸が一本に収斂しがちな韓国では、当然、役職が上の人はクルマも大きくないと周囲の人が混乱してしまう。涙。


表題のハングル、読み方は「クンナラ」。最初の1文字が「クン」で、「大きい」という意味。次の2文字が「ナラ」で、「国」。ウリナラマンセー、のナラである。「クンナラ」で「大きい国」。大きいものが大好きな韓国人が、現在の経済大国韓国を称えて呼ぶときの名称にふさわしいが、実は1500年前の朝鮮半島西部の人たちも、自分たちの国をやっぱり「クンナラ」と呼んでいたのではないか、という話。


昨日の韓国の朝鮮日報の記事↓
http://www.chosunonline.com/article/20081214000004


最近朝鮮日報は、過去記事を有料制にしてしまったので、文面を引用しておきます。

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今なお日本に息づく百済の香り

【新刊】ホン・ユンギ著『日本の中の百済』(ハンヌリ・メディア) 
「“くだらない”という言葉は、日本で長い歴史を持っている。かつて古代日本では百済(くだら)ブームが起こっており、それが韓流の原点だった」。くだらないという言葉は、「日本人の百済にたいするほめ言葉」を指す。著者は大阪や奈良・飛鳥地方を訪ね、日本に浸透した百済の歴史の香りを生き生きと描いた。

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”くだらない”がほめ言葉云々の下りはスルーするとして、本の表紙の一番上、6文字のハングルの表題を見てみる。일본 속의 백제。これで日本文記事にある通り、日本の中の百済、となる。韓国語の文法は基本的に日本語の文法と一緒なので、最後の2文字「백제」が「百済」。


百済と言うのは、4世紀から7世紀にかけて存在した朝鮮半島南西部の国であり、当初は漢江南岸、まさに私が住んでいたソウル特別市松坡区のあたりに都を構えていた。



現在のソウル特別市漢江北岸の岸辺(ガンビョン)あたりから南方、蚕室大橋(チャムシルデギョ)と松坡区を臨む図。


百済の北には高句麗、東には新羅があり、南西には日本領であったと伝えられる任那伽耶)がある。上の記事の言う「ブーム」というようなものかどうかはともかく、任那を別にすれば百済はこれらの国の中で一番日本と仲がよく、仲が悪かった新羅としょっちゅう喧嘩をして、日本に軍隊派遣の要請をしたりしている。例えば石上神宮所蔵の国宝の七枝刀は、4世紀に百済から軍事援助のお礼として贈られたとされているが、そのような百済から伝わった事物には枚挙のいとまがない。また逆に、前方後円墳など日本から百済に伝わったものもたくさんある。



松坡区松坡2洞の百済古墳。住んでたアパートから徒歩3分。


さて、現在のハングルで「백제」と表記される百済であるが、백제の読み方はベクチェ。百済を強引な音読みすればハクセイとも読めるから、だいたい合ってる。一方、百済の敵役である新羅のハングル表記は「신라」、読みはシンラ。日本語の音読みと全く一緒だし、日本語の新羅の発音であるシラギにだいたい近い。ここでおかしいのは日本語での百済の発音。どうしてこれがクダラと読まれるのか。


四世紀の日本人「どこの国から来たのー?」
四世紀の百済人「おっきな国、クンナラから来たにだよー。よろしくー」
四世紀の日本人「へー、クダラって国があるのかー。ようこそー」


というような可能性に言及している文献にソウル在住中に接し、へー、と感心した記憶がある。上の本の表紙の赤い3文字のハングル「구다라」は、ハングルで外来語を表現する場合の手法にのっとって、百済の日本語読み「クダラ」を正確に一音ずつ訳しているのだが、1500年前の日本と朝鮮半島の国との交流を振り返るこの本の表紙には、「큰 나라」こそふさわしい。


新羅、シラギのギについては、蔑称だという話を聞いたことがあり、百済人が日本人に新羅の説明をする、という文脈ではまったくもってもっともらしいのだけど、現代韓国語の中に根拠を見つけられてないのでこれはいずれまた。どなたか何かご存じでしょうか?

蚕室のロッテホテルのお土産物屋さんで買った、百済様式の仏像をモチーフにした現在の韓国の彫刻家の作品。どこかで見たことがあるようなポーズ。とてもかわいらしい。